山本クリニック脳神経外科・神経内科相談掲示板最近の話題 359


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359記事タイトル:山本クリニック脳神経外科・神経内科相談掲示板最近の話題359

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●御相談タイトル:【 1歳2ヶ月になる息子の「慢性硬膜下血腫」 】

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回答者:
東京都 世田谷区 山本クリニック 山本博昭(脳神経外科専門医・外科認定医)


これはさぞかし御心配であろうと存じます。
御相談者の御気持ちが大変よく判る御相談です。


++++++++++++++++++++++
御相談者の御相談内容要旨御記載を熟読させて頂きました。

御相談者の御相談内容要旨御記載からは
「救命救急」「担送」の翌日に
すべからくの
「御子息様」の今回の”「小児頭部外傷」”に関する
「脳神経外科専門医」の「病態」把握と「治療戦略」が
完成されています。

「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」は
切れ味鋭い大変な「名医」と考える。

「わずかに水がたまっている」
という
「小児慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」=「外水頭症」
は「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」
が仰られるように。
今回の「小児頭部外傷」の「エピソード」
以前より既に「存在」したものであると推察致します。

「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
による「病態」です。

下記に順を追って御回答致します。
++++++++++++++++++++++


#1
##1
「1歳2ヶ月になる息子のことでご相談なのですが。

二週間前に高さ30cmのテーブルに上って、その上で座ろうとした際に、
フローリング(絨毯敷いてある)に落下してしまい、頭を打ちました。
大泣きした直後に、突然いびきをかき、意識が無い状態になりました。
直ぐに救急車を呼び、救急車内で嘔吐し、少ししてから
泣き始め、意識は戻った状態で救命センターへ到着。

当日の診断は脳震盪ということでしたが、翌日に検査所見から
「慢性硬膜下血腫」「網膜前出血」「脳波検査による異常の発見」
「脳に水が少し溜まっている」「右頭頂骨骨折」
とのことでした。

「いずれも今回の落下によるものではなく、以前からあったものです。」
とのことですが、色々思い出してみましたが、私も妻も心当たりがありません。
血腫については4箇所で見つかっておりますが、先生の診断では、
手術の必要性は今のところなく、経過を検査で診ていくとのことです。

病院搬送後より、現在まで入院中ですが、落下してから3日後に
痙攣がおき始め、薬を内服して抑えています。(痙攣は以前は無し)
外傷性のてんかんと診断されました。

検査を続ける中で、血腫が大きくなってはいない状態で、
息子は入院直後は首もすわらない状態でしたが、今は入院前と同じ位の
レベル(つたい歩きする)まで回復しています。
事故前にやっていたしぐさを忘れていることもない様です。

ご相談としては、
1.このまま経過観察に留まった場合、血腫や水はいずれどうなるのか?
2.この先、発達障害や後遺症が発生するのか、またそれはどの様なものなのか?
3.外傷性てんかんは今後治癒してくれるのか?
先生は脳の萎縮が一番怖いとのことですが、上記の質問については、
分からないとしかいってくれません。

今後、退院も見えてはきています。
てんかんの薬を指示通りに飲ませ続けることや、
病院の検査を必ず受けさせます。
また、子供の行動に今まで以上に目を配り、危険防止を心がけます。

息子の今後を考えると心配です。

なにとぞ、ご回答を宜しくお願いいたします。」
との事です。


#2
##1
経験豊かな「脳神経外科専門医先生」の場合
「頭部外傷」「小児頭部外傷」の患者さんをみて
「慌てず」「まずは」
なぜ「頭部外傷」「小児頭部外傷」に到ったのであろう
と考えます。

##2
「なぜ「頭部外傷」「小児頭部外傷」に到ったのであろう」
とは。

##3
成人の「頭部外傷」の患者さんの場合
「アルコール依存症」の患者さんは
さまざまな「外力」による「受傷機転」の如何を問わず
不思議と
「頭部外傷」+「顔面外傷」で怪我をされます。

##4
「小児頭部外傷」の患者さんは年齢層によって
「幼小児期」「学童期」で
「受傷機転」は異なりいきおい「小児頭部外傷」も
「臨床神経診断学」的に異なります。

##5
「幼小児期」のお子様の「小児頭部外傷」は
圧倒的に「「転落外傷」が多い」ものです。

##6
これは
「幼小児期」のお子様には
「遠近感」と「高度」という度量衡の「探知能力」
が「成人に比して著しく欠乏」している。

##7
よって
「「サー・アイザック・ニュートン:Sir Isaac Newton」の
「万有引力の法則」による「落下」という「観念」がないためと
判断されています。

##8
また「小児慢性硬膜下血腫」という
「成人の慢性硬膜下血腫」とは異なる「病態」では。
=>##9

##9
小児の「平衡機能中枢」は小脳のみではなく
両側「前頭葉」にもあります。

##10
「小児慢性硬膜下血腫」のお子様は「症状・症候」を
ある時点までだしません。

##11
「小児頭部外傷」ではあるけれども
「頭部外傷」を「複数回反復」されているうちに
さらにより「「頭部外傷」を起しやすくなり」
ある臨界点をこえると救急「担送」という状況に至る事が多いです。


#3
##1
「二週間前に高さ30cmのテーブルに上って、その上で座ろうとした際に、
フローリング(絨毯敷いてある)に落下してしまい、頭を打ちました。
大泣きした直後に、突然いびきをかき、意識が無い状態になりました。
直ぐに救急車を呼び、救急車内で嘔吐し、少ししてから
泣き始め、意識は戻った状態で救命センターへ到着。

当日の診断は脳震盪ということでしたが、翌日に検査所見から
「慢性硬膜下血腫」「網膜前出血」「脳波検査による異常の発見」
「脳に水が少し溜まっている」「右頭頂骨骨折」
とのことでした。」
との事です。

##2
「当日の診断は脳震盪ということでしたが、翌日に検査所見から
「慢性硬膜下血腫」「網膜前出血」「脳波検査による異常の発見」
「脳に水が少し溜まっている」「右頭頂骨骨折」」

「意識は戻った状態で救命センターへ到着。」
であらば。
=>##3

##3
到着後の「臨床神経診断学」そして「画像診断」から。
脳CT頭部X線撮影で「すぐさま」
「翌日に検査所見から
「慢性硬膜下血腫」「網膜前出血」「脳波検査による異常の発見」
「脳に水が少し溜まっている」「右頭頂骨骨折」
とのことでした。」

診断は「確定したはずです」。

##4
多分に「脳神経外科専門医先生」である
「お受けもちの先生」は「非常に高度の判断を下されている」
そのために「一晩必要とされた」と
解釈致します。


##5
1・
「慢性硬膜下血腫」
2・
「網膜前出血」
3・
「脳波検査による異常の発見」
4・
「脳に水が少し溜まっている」
5・
「右頭頂骨骨折」
から頭部X線撮影で骨折があり

=>#4


#4
##1
#3##5の
「1・」=「慢性硬膜下血腫」
「4・」=「脳に水が少し溜まっている」
の「意味」の「判断」は「御家族」には難しいかもしれませんが。

##2
###1
「4・」=「脳に水が少し溜まっている」
とは。

「御子息様」には
「4・」=「脳に水が少し溜まっている」*=
「小児慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」=「外水頭症」
があるが「わずかである」

(「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
があり元来
通常のお子様より「隙間が大きい」という「病態」です。)

###2
「1・」=「慢性硬膜下血腫」
は「元来から存在していた」
「小児慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」=「外水頭症」
の部位=「空隙」に。
「御家族」にすら
「受傷機転」など気づかれない「これまでの微小外傷もふくめ」
「外力」が原因による
「微小出血」により
「硬膜下に血腫」を起された痕として「小児慢性硬膜下血腫」
があるということです。

##3
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
のあるお子様の場合
ベッドの枕に勢いよく「お布団」で就眠しようとして
「小児慢性硬膜下血腫」をおこされる事例もある。

##4
成人と比較しお子様は「頭でっかち」であるが
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
という成人にはない「隙間」が
硬膜下にある。

##5
##4がの
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
が「大きい」お子様ほど
「小児慢性硬膜下血腫」を惹起しやすいものです。

##6
多くは両側性です。
偶然に脳CTで「慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」=「外水頭症」
が発見されることもあります。

#5
##1
「脳神経外科専門医先生」である「お受けもちの先生」
は切れ味鋭い大変に「優秀な「脳神経外科専門医先生」」である
と伺えます。

##2
「いずれも今回の落下によるものではなく、以前からあったものです。」
とのことですが、色々思い出してみましたが、私も妻も心当たりがありません。
血腫については4箇所で見つかっておりますが、先生の診断では、
手術の必要性は今のところなく、経過を検査で診ていくとのことです。」
=>##3

##3
「小児慢性硬膜下血腫」という「病態」が
両側の「硬膜下腔:こうまかくう」に発生している場合
脳CTではハンスフィールドナンバー(「吸収係数」)という
血腫の「濃度」を-2000-0-+2000のグレイスケールで判断可能
です。

##4
##3からすれば「血腫が新しいか古いか」は
たちどころに判断できます。
「お受けもちの先生」が

「4・
「脳に水が少し溜まっている」」と仰られたものは
「黄色調:キサントクロミー(ア):xanto-clomia」という
性状の
「透明な「脳脊髄液:cerebro-spinal fluid:CSF]」ではない
「古い出血」によるものと考える。

##5
「色々思い出してみましたが、私も妻も心当たりがありません。」
との事です。
=>
「小児慢性硬膜下血腫」は偶然みつかる事例が多い。
「御家族」も「受傷機転」に関しては思い出せないことが
大部分です。

##6
「血腫については4箇所で見つかっておりますが、先生の診断では、
手術の必要性は今のところなく、経過を検査で診ていくとのことです。」
=>
この御判断は極めて正しいです。


#6
##1
「病院搬送後より、現在まで入院中ですが、落下してから3日後に
痙攣がおき始め、薬を内服して抑えています。(痙攣は以前は無し)
外傷性のてんかんと診断されました。

検査を続ける中で、血腫が大きくなってはいない状態で、
息子は入院直後は首もすわらない状態でしたが、今は入院前と同じ位の
レベル(つたい歩きする)まで回復しています。
事故前にやっていたしぐさを忘れていることもない様です。」
との事です。
=>
宜しかったです。

##2
「病院搬送後より、現在まで入院中ですが、落下してから3日後に
痙攣がおき始め、薬を内服して抑えています。(痙攣は以前は無し)
外傷性のてんかんと診断されました。」
との事です。
=>

##3
「外傷性てんかん」との事です。
これも今回の「頭部外傷」が原因ではなく
過去の「複数回の「頭部外傷」」による「病態」が「症状・症候」に
現れたものと
推察致します。

##4
「脳波検査所見」での「「異常波」の出現」の「検査」も
急性期の「頭部外傷」では急性期に「行わない「検査」」である。
それを「担送」直後から「翌日」までの間に施行されています。

##5
「御子息様」が入院されてより
「お受けもちの先生」が「御子息様」の「パターン」を
すべからく「よんでいた」ということになります。

##6
「脳神経外科専門医先生」としても切れ味鋭い大変な「御名医」
でいらっしゃると思います。


#7
##1

「ご相談としては、
1.このまま経過観察に留まった場合、血腫や水はいずれどうなるのか?」
=>
生長に準じて
「「頭蓋骨」と「脳表」の間に
「通常よりも余計な空隙」があり「慢性硬膜下液貯留」の状態」

「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
が「改善されるまで」たまったままです。

##2
「2.この先、発達障害や後遺症が発生するのか、またそれはどの様なものなのか?」
=>
###1
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)が
おありの
「慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」の状態にて
「硬膜下水腫」に「血腫が「再発」すること」は
ありえます。
=>
###2
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
のお子様に
「発達障害」が発生することは稀です。
###3
「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」

「慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」は「わずか」
とされていますから「生長をまち」
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
の改善を待たれることと今の私は考えます。

##3
「3.外傷性てんかんは今後治癒してくれるのか?」
=>
あくまでも可能性ですが
怪我ばかりしているお子様がいて
怪我のようにみえて御相談者の「御子息様」と同じく
「小児慢性硬膜下血腫」であった事例があり
その原因が「外傷性てんかん」であった事例
があります。
(「脳神経外科専門医」が受け持ちであったが
気が付かなかった)

#8
##1
「先生は脳の萎縮が一番怖いとのことですが、上記の質問については、
分からないとしかいってくれません。」
との事です。

##2
「先生は脳の萎縮が一番怖いとのことですが」
=>
「その通りです」。
=>
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)

どのお子様も小児期には
「頭蓋骨・脳の容積不均衡」から「頭蓋骨」と「脳表」の間に
「成人よりも余計な空隙」がある。
=>
この「空隙」に「小児慢性硬膜下液貯留」=「慢性硬膜下水腫」=「外水頭症」
による「圧迫」が存続し続ければ
「脳萎縮:のういしゅく:brain atrophy」
に到ります。

##3
「上記の質問については、
分からないとしかいってくれません。」
との事です。
=>
御相談者の御相談内容要旨御記載からは
「上記の質問1・2・3・」は
単純な「症状・症候」の御質問にすぎません。

##4
「中枢神経系本体」である「大脳」の
「本質的」な「問題」としては。

##5
「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」の
「脳萎縮:のういしゅく:brain atrophy」への進展が
怖い」
がすべてです。

#9
##1
「cranio-cerebral disproportion」(「頭蓋骨・脳の容積不均衡」)
による
「小児慢性硬膜下血腫」に関連する
山本クリニック脳神経外科・神経内科相談掲示板
http://www5b.biglobe.ne.jp/~mddmsci/nosinkei/index.html
の「過去の御相談と御回答」から

8ヶ月の娘の頭蓋骨骨折と右急性硬膜下血腫
[2] [2005年10月24日 7時48分33秒]
http://www5b.biglobe.ne.jp/~mddmsci/nosinkei/321632590917037.html
を御参照頂けますか。

##2
御参考になれば何よりです。


#10結論:
##1
御相談者の御相談内容要旨御記載を熟読させて頂きました。

##2
「今後、退院も見えてはきています。
てんかんの薬を指示通りに飲ませ続けることや、
病院の検査を必ず受けさせます。
また、子供の行動に今まで以上に目を配り、危険防止を心がけます。

息子の今後を考えると心配です。」
との事です。

##3
御相談者の御気持ちが大変よく判ります。

##4
けれども
御相談者の御相談内容要旨御記載からは
「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」は
大変な切れ味の鋭い「名医」でいらっしゃる。
これは
「御家族」にとり
何よりも「御幸運」です。

##5
「小児頭部外傷」による
「小児急性硬膜下血腫」で「開頭手術」等を
されていても不思議ではありません。

##5
御退院されてからはこの
「お受けもちの「脳神経外科専門医先生」」に
さまざまの御相談をされて
いかれれば宜しいのではないでしょうか。

##6
一刻も早く御相談者の「症状・症候」が寛解される日の来られる事を・
一刻も早いご回復を心より御祈り申し上げます。

##7
この御回答が何がしかのお役に立てば何よりで御座います。
何卒にお大事にお健やかにされてくださいませ。

[2007年11月21日 20時53分36秒]
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by mmdmsci | 2007-11-25 10:37


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